それぞれの目標を達成するための機能訓練

注目の「機能訓練」を支える仕事

何のために行うのか

なぜ「機能訓練」が注目されるようになったのか

どこかで耳にしたことのある人も多いと思いますが、日本では少子高齢化が深刻なスピードで進んでおり、2025年には約800万人が75歳以上の後期高齢者となります。また人口構成を見ると、2015年時点では65歳以上の高齢者1人を20~64歳の働く世代が約2.4人で支えていましたが、これが2050年には高齢者1人を約1.2人で支える計算となっています。
そうすると、医療や介護の需要が増大するだけでなく、高齢者だけの世帯や一人暮らしの高齢者も増えることになります。国もさまざまな対策を講じていますが、介護が必要になる前に予防したり、症状が悪化しないように残存機能を維持することが大切なのです。こういった状況から、機能訓練の重要性が訴えられるようになりました。

なぜ「機能訓練」が注目されるようになったのか

機能訓練の目的

高齢者は身体的な機能の低下から身体を動かさなくなり、それによってまたさらに機能が低下するというループに陥りがちです。筋肉が減少したり関節が動かしにくくなったりすることによって運動の機会が減ると、さらに筋力が落ちる・骨がもろくなるという身体的な変化だけでなく、認知機能が低下したり精神的に落ち込みがちになるという影響もあります。
しかし、動かしづらくなった身体を無理に動かすことに不安があったり、「できない」と感じることがストレスになるためやりたくないと思ったりすることは、理解に難くはありません。高齢者に限らず、できることから始めて成功体験を重ねていくことはモチベーションにつながります。デイサービスの機能訓練では、この「できること」を見つけて支援していきます。
例えば、転ばないように歩いたり体力をつけることや、買い物に行く・友達と旅行に行くなどの目標を持って、そこに向かって今できることから始めていきます。ここで大切なのは、身体機能だけに注目するのではなく、他者との関りや、大きく言えば生きる楽しみや目標についても考える必要があるということです。

目的に応じた機能訓練

機能訓練の種類を大きく3つに分けて紹介します。まずは日常の生活動作の維持・改善を行う機能訓練です。自分で立ち上がって歩いたり着替えたりといった、わたしたちが生活の中で何気なく行っている動作も、身体的な機能が低下した高齢者にとっては困難な場合があります。これを自力で行うために、個人の状況に合わせた機能訓練が実施されます。
次に、高齢者の死亡原因として多い誤嚥を予防するための機能訓練です。誤嚥を予防するためには、舌や喉だけでなく顔全体の筋肉を総合的に鍛える必要があります。表情をはっきり区別して「あ・い・う・え・お」の発声をすることによって筋力が向上し、発声自体が良くなるという効果もあるそうです。
最後に、認知症を防ぐために脳を活性化させることを目的とした機能訓練です。脳の活性化のためには、指先を動かすことが効果的であるとされています。予防の段階ではパズルなどを行い、既に認知症の症状が現れている場合には指回し運動などの機能訓練を実施します。

まずはその目的を知っておこう

何のために行うのか

少子高齢化に伴うさまざまな課題が取りざたされる中、高齢者の心身の健康を維持改善するための介護予防や自立した生活を送るための日常生活機能の維持に役立つとして、機能訓練は注目を集めています。単純に動ける・動けないということだけではなく、どのように生きていきたいかというような目標を持って取り組まれています。

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